豚ハラミは太る？ダイエット向き？カロリーと太らない食べ方をプロが解説

豚ハラミのジューシーな味わいは多くの人を魅了しますが、「食べたいけれど太るのが心配」と感じる方も少なくないでしょう。

豚ハラミが豚のどの部位であり、どれくらいのカロリー・糖質を含むのか、そして脂質が多いとされるその中身はどうなっているのでしょうか。

この記事では、豚ハラミで太る原因を徹底的に分析します。

牛・豚・鶏とのカロリー比較を通じてその立ち位置を明確にし、食べ過ぎると体に悪いのか、夜寝る前に食べると太るのか、何時までなら大丈夫なのかといった具体的な疑問にもお答えします。

さらに、豚ハラミのカロリーを消費するための運動量や、太る食べ方・太りにくい食べ方の違いを詳しく解説。

果たして豚ハラミはダイエット向きなのか、ダイエット中のおすすめ部位3選とあわせて、あなたの食生活に役立つ情報をお届けします。

豚ハラミは太る？部位やカロリーから解説

そもそも豚ハラミは豚のどの部位？

豚ハラミとは、豚の横隔膜にある筋肉の部位を指します。焼肉店などでは牛肉のハラミが一般的ですが、豚肉にも同様の部位が存在します。

見た目は赤身肉に非常に近いため、精肉と思われがちですが、分類上は内臓肉、つまりホルモンの一種です。牛ハラミと同様に、胸とお腹を隔てる膜である横隔膜の肋骨側の部分にあたります。ホルモン特有の臭みやクセが少なく、肉に近いしっかりとした食感と濃厚な味わいを持っているため、ホルモンが苦手な人でも食べやすい部位として人気があります。

豚一頭から取れる量は数百グラム程度と、牛肉のハラミ以上に希少な部位です。そのため、スーパーマーケットなどで見かける機会は牛ハラミに比べて少ないかもしれません。

ちなみに、鶏肉にも「鶏ハラミ」と呼ばれる部位が存在します。ただし、鶏ハラミは牛や豚とは異なり横隔膜ではなく、ももの付け根近くにある腹壁の筋肉を指します。コリコリとした独特の食感が特徴で、こちらも1羽から数グラムしか取れない希少部位です。このように、同じ「ハラミ」という名前でも、動物によって指す部位や特徴が少し異なります。

豚ハラミのカロリー・糖質はどれくらい？

豚ハラミの栄養成分で最も気になるのが、カロリーと糖質の量だと考えられます。

食品成分のデータによると、豚ハラミのカロリーは100gあたり約400kcalです。これは、焼肉で食べられる他の部位と比較しても、決して低い数値ではありません。一方で、糖質は100gあたり約0.35gと非常に低く、糖質制限を意識している方にとっては魅力的に映るかもしれません。

要するに、豚ハラミは「低糖質・高カロリー」な食材であるということです。糖質が低いからといって安心してたくさん食べてしまうと、カロリーの過剰摂取に繋がりやすいという特性を理解しておくことが大切になります。

ダイエット中に豚ハラミを食べる際は、このカロリーの高さを念頭に置き、食べる量や頻度を調整する必要があります。

脂質が多いことが高カロリーの理由？

前述の通り、豚ハラミの糖質は非常に低いにもかかわらず、なぜカロリーは高いのでしょうか。その主な理由は、豊富に含まれる脂質にあります。

三大栄養素であるタンパク質、脂質、炭水化物（糖質）は、1gあたりのカロリーがそれぞれ異なります。タンパク質と炭水化物が1gあたり約4kcalなのに対し、脂質は1gあたり約9kcalと、倍以上のエネルギーを持っています。このため、脂質の含有量が多い食材は、必然的にカロリーが高くなる傾向にあるのです。

豚ハラミは、100gあたり約35g前後の脂質を含んでいるとされます。カロリーの大部分がこの脂質に由来しており、ジューシーで濃厚な味わいも、この豊富な脂質から生まれています。

また、豚ハラミに含まれる脂質の多くは「飽和脂肪酸」です。飽和脂肪酸は、身体を動かすための重要なエネルギー源となる一方で、摂り過ぎると血液中の悪玉コレステロールを増加させ、生活習慣病のリスクを高める可能性も指摘されています。

これらのことから、豚ハラミが高カロリーである理由は、豊富な脂質含有量にあると言えます。美味しさの源である脂質ですが、健康やダイエットを考える上では、その量や質に注意を払うことが求められます。

牛・豚・鶏とのカロリー比較でわかること

「ハラミ」という部位は牛、豚、鶏にそれぞれ存在しますが、種類によってカロリーや脂質には大きな違いがあります。豚ハラミの立ち位置を客観的に理解するために、他のハラミと比較してみましょう。

種類	カロリー（100gあたり）	糖質（100gあたり）	特徴
豚ハラミ	約400 kcal	約0.35g	脂質が非常に多く、濃厚でジューシーな味わい。カロリーは最も高い。
牛ハラミ	約301〜342 kcal	約0.3g	適度な脂と赤身のバランスが良く、肉の旨味が強い。豚よりはヘルシー。
鶏ハラミ	約121 kcal	0g	脂質が少なく、非常に低カロリー。コリコリとした独特の食感が特徴。

※カロリーや糖質は、使用するデータや個体差によって若干の変動があります。

この表から明らかなように、豚ハラミは牛や鶏のハラミと比較して、圧倒的にカロリーが高いことがわかります。特に、ダイエットの強い味方として知られる鶏肉のハラミと比較すると、3倍以上のカロリーがあります。

もしカロリーを最優先に考えるのであれば、鶏ハラミが最も優れた選択肢です。次に牛ハラミ、そして最も注意が必要なのが豚ハラミという順番になります。

ただ、カロリーが高いからといって、豚ハラミが必ずしも悪いわけではありません。それぞれのハラミに異なる食感や味わい、栄養価があるため、目的に応じて賢く選び、量を調整することが賢明な判断と言えるでしょう。

意外にも豚ハラミはダイエット向き？

これまでの情報を見ると、「高カロリーで脂質が多い豚ハラミは、ダイエットの敵でしかない」と感じるかもしれません。しかし、一概にそうとは言い切れない側面も持っています。食べ方や量に注意すれば、豚ハラミもダイエット中に活用できる可能性があるのです。

その理由は、豚ハラミがタンパク質やビタミン、ミネラルを豊富に含んでいるからです。

豊富なタンパク質

豚ハラミは、筋肉や髪、肌など、体を作る上で不可欠なタンパク質を多く含んでいます。タンパク質は消化に時間がかかるため腹持ちが良く、間食を防ぐ効果が期待できます。また、筋肉量を維持・向上させることは基礎代謝のアップに繋がり、痩せやすく太りにくい体質を作る上で非常に重要です。

ダイエット中に嬉しい栄養素

豚ハラミには、糖質や脂質の代謝を助けるビタミンB群や、貧血予防に役立つ鉄分、むくみ解消をサポートするカリウムなども含まれています。これらはダイエット中に不足しがちな栄養素であり、これらを補給できる点は大きなメリットです。

したがって、豚ハラミは高カロリー・高脂質というデメリットがある一方で、高タンパクで栄養価が高いというメリットも併せ持っています。

もちろん、何も考えずに食べれば太る原因になりますが、「どうしてもお肉が食べたい」という時に、量を決めて、後述するような太りにくい食べ方を実践すれば、ダイエット中の栄養補給源として、また食事の満足度を高めるための選択肢となり得ます。要するに、豚ハラミをダイエットの味方につけるか敵にするかは、あなた自身の知識と工夫次第ということです。

豚ハラミで太るのを防ぐ食べ方のコツ

太る原因は？太る食べ方・太りにくい食べ方

豚ハラミ自体が高カロリーであることは事実ですが、体重増加に直接繋がるかどうかは「食べ方」に大きく左右されます。ここでは、どのような食べ方が太る原因になるのか、そしてそれを避けるための太りにくい食べ方を解説します。

太る食べ方とその原因

太りにくい食べ方のコツ

これらの工夫を実践するだけで、同じ豚ハラミを食べても体への影響は大きく変わります。部位の特性を理解し、賢い食べ方を身につけることが大切です。

夜寝る前に食べると太る？何時までならOK

高カロリーな食事をいつ食べるか、という時間も体重管理において非常に重要な要素です。特に、豚ハラミのように脂質が多い食べ物を夜遅くに摂取することは、太るリスクを著しく高めるため注意が必要です。

その理由は、私たちの体内に存在する「BMAL-1（ビーマルワン）」というタンパク質にあります。BMAL-1は体内時計を調整する役割を持ちますが、同時に、脂肪を細胞に溜め込む働きも持っています。このBMAL-1の量は一日の中で変動し、日中は少なく、夜にかけて増加していくのです。

具体的には、BMAL-1が最も少なく、食べたものが脂肪になりにくい時間帯は、午後2時から3時頃と言われています。逆に、BMAL-1の分泌量がピークに達し、最も脂肪を蓄積しやすい時間帯は、午後10時から深夜2時にかけてです。

このため、夜寝る前に豚ハラミを食べるのは、最も避けるべき行為と言えます。消化にも時間がかかるため、胃腸に負担をかけ、睡眠の質を低下させる原因にもなりかねません。

では、何時までなら大丈夫なのでしょうか。厳密な線引きは難しいですが、一般的には夕食は就寝の3時間前までには済ませるのが理想とされています。BMAL-1の増加が本格化する前の、できれば夜7時から8時頃までに食べ終えるのが賢明です。

もし、どうしても豚ハラミを食べたいのであれば、活動量の多い昼間のランチに選ぶのが最も安全な選択と言えるでしょう。夜に食べる場合は、できるだけ早い時間に、量を控えめにし、前述した「太りにくい食べ方」を徹底することが不可欠です。

食べ過ぎると体に悪い？1日の適量は

豚ハラミは美味しいですが、食べ過ぎは体重増加だけでなく、健康面でのリスクも伴います。特に注意したいのが「飽和脂肪酸」の過剰摂取です。

前述の通り、豚ハラミには脂質が多く含まれ、その中には飽和脂肪酸も豊富です。飽和脂肪酸は体のエネルギー源として必要ですが、過剰に摂取すると血中のLDL（悪玉）コレステロールを増やし、動脈硬化を進行させる一因となります。これが続くと、将来的には心筋梗塞や脳梗塞といった深刻な血管系の疾患に繋がるリスクが高まるのです。

また、脂質異常症と診断されている方は、コレステロールの摂取量にも注意が必要です。豚ハラミを含む内臓肉は、部位によってはコレステロールを多く含む場合があります。

それでは、1日の適量はどのくらいなのでしょうか。

厚生労働省などが示す「食事バランスガイド」では、肉や魚、卵、大豆製品といった主菜の摂取目安を1日に3〜5つ（SV）としています。これを参考にすると、他の食事とのバランスも考慮し、1食あたりの豚ハラミの摂取量は100g程度に留めておくのが一つの目安と考えられます。

もちろん、これは毎日食べる場合の目安ではありません。焼肉などで楽しむ日は特別な日と捉え、多少多めに食べることもあるでしょう。大切なのは、食べた翌日以降の食事で調整することです。豚ハラミを食べた次の日は、魚や大豆製品を中心とした脂質の少ない食事を心がけたり、野菜を多めに摂ったりするなど、数日間でバランスを取る意識を持つことが健康を維持する上で鍵となります。

豚ハラミのカロリーを消費するための運動量

豚ハラミ100g（約400kcal）を食べた場合、そのカロリーを消費するにはどれくらいの運動が必要になるのでしょうか。具体的な運動量を知ることで、カロリーの高さをより実感でき、食べる量を考える上での参考になります。

以下は、体重60kgの人が約400kcalを消費するために必要な運動時間の目安です。

運動の種類	時間の目安
ウォーキング（やや速め）	約110〜120分
ジョギング	約50〜60分
自転車（サイクリング）	約70〜80分
水泳（クロール）	約40〜50分
階段の上り下り	約45〜55分
掃除機がけ	約140〜150分

※消費カロリーは個人の体重、年齢、性別、運動強度によって変動するため、あくまで目安です。

この表を見ると、豚ハラミを100g食べるだけで、そのカロリーを消費するにはかなりの時間と労力が必要になることがわかります。例えば、約2時間にも及ぶウォーキングが必要となると、日常的に実践するのは簡単ではありません。

もちろん、私たちは基礎代謝によって安静にしていてもカロリーを消費していますが、食事で摂取したカロリーを運動だけで相殺しようと考えるのは非現実的です。

だからこそ、運動で消費することに頼るのではなく、食べる段階でカロリーをコントロールする「太りにくい食べ方」の実践が、より重要かつ効果的なアプローチと言えるのです。

ダイエット中のおすすめ部位3選を紹介

豚ハラミは食べ方に注意が必要ですが、ダイエット中にお肉を完全に我慢するのはストレスの原因になります。そこで、豚ハラミの代わりに、より安心して食べられる低カロリー・高タンパクな部位を知っておくと、食事の選択肢が広がります。ここでは、ダイエット中に特におすすめの部位を3つ紹介します。

鶏むね肉（皮なし）

ダイエット食材の代表格とも言えるのが、皮を取り除いた鶏むね肉です。カロリーは100gあたり約110〜120kcalと非常に低く、脂質もわずかです。それでいてタンパク質は豊富に含まれており、まさに理想的なダイエット食材と言えます。調理法も蒸す、茹でる、焼くと多様で、淡白な味わいなので様々な味付けに合います。パサつきが気になる場合は、調理前に塩麹やヨーグルトに漬け込むと、しっとりと柔らかく仕上がります。

豚ヒレ肉

豚肉の中でも、最も脂質が少なくヘルシーなのがヒレ肉です。100gあたりのカロリーは約115kcal前後と、鶏むね肉に匹敵するほどの低さです。赤身肉なので鉄分も豊富で、きめが細かく非常に柔らかいのが特徴です。ビタミンB1も多く含んでおり、糖質の代謝を助ける働きも期待できます。トンカツなどにするとカロリーが高くなりますが、シンプルにソテーやポークチャップにするのがおすすめです。

牛ヒレ肉（または牛もも肉

牛肉を食べたい場合は、ヒレ肉が最適です。100gあたりのカロリーは約120〜130kcalと、牛肉の中ではトップクラスの低カロリー・低脂質です。非常に柔らかく、上品な味わいが楽しめます。価格が少し高めですが、もう少し手頃な部位で言えば、牛もも肉（赤身）もおすすめです。カロリーは100gあたり170kcal前後ですが、脂肪燃焼を助けるL-カルニチンが豊富に含まれています。

これらの部位を上手に活用すれば、ダイエット中でも罪悪感なくお肉を楽しみながら、必要なタンパク質をしっかり摂取できます。

結論！豚ハラミが太るかは食べ方次第

この記事で解説してきた重要なポイントを以下にまとめます。